長野県飯山市で新規就農された方をご紹介します
佐々木豪 さん
岩手県盛岡市出身 34歳
2020年4月就農
栽培している主な品目:ズッキーニ、白ネギ、アスパラガス
経営面積:32a
家族構成:独身
(取材日:2020年6月)
飯山の市街地から車で山道を登ること15分。濃い緑の木々に囲まれた畑にたどり着きました。澄んだ空気に、鳥のさえずり。なんとものどかな雰囲気です。
佐々木豪さんは2019年に岩手県盛岡市から長野県飯山市に移住。飯山市農業研修センターである、株式会社アグリみゆき(現在は、ながの農花株式会社)で1年間研修した後、斑尾高原に近い大川(おおがわ)集落に家を購入して新規就農しました。
新規就農の場を探す旅で飯山に出会った
盛岡では、いわゆるサラリーマンをしていたという佐々木さん。 旅行や釣りが趣味で、自然が好き。自然の中で働きたい、という思いがつのり、農業を目指すことにしたそうです。
新規就農する場所を探すため、地元の岩手県はもちろん、青森県から愛知県まで幅広く車でめぐりました。その最中に長野県を訪れ、国道117号から見えた飯山の風景に魅了され、直感で飯山に決めた! のだとか。
それから飯山市の農業について詳しく調べ、コンクールで受賞するようなおいしい米のほかにも、アスパラガスやズッキーニといった特徴のある農産物があることや、新規就農者に対する手厚いサポート体制があることも分かり決心しました。
雪には慣れているものの、念のため豪雪地帯の冬の暮らしを斑尾高原で体験してから移住することに。冬はスキー場でアルバイトをしました。
冬は雪があるため農業はできませんが、自然が好きな佐々木さんにとっては、メリハリのある飯山の四季がとても魅力的に感じたそうです。
元農家の家と畑を受け継ぎ、新規就農へ
研修中は、農業従事者を支援する市の賃貸住宅に住んでいましたが、新規就農するにあたって家探しをすることに。
「移住して農業をやるには、かなり初期投資がかかリます。いい条件の家がないと難しいと思いました」
作業所があり、軽トラと自家用車の2台を駐められることが条件。10軒以上見学し、最終的に飯山市空き家バンクに登録されたばかりの中古住宅を購入しました。
家主は元農家で、畑や農機具、除雪機なども受け継ぎました。 軽トラも格安で譲ってもらったのだとか。
いろいろやりながら、自分の方向性を決めていきたい
家と一緒に譲り受けた畑には、ズッキーニ、白ネギを植えました。来春から収穫できる状態のアスパラガス畑も引き受けました(通常アスパラは、種をまいてから収穫できるようになるまで3年かかります)。
畑の片隅では、無農薬でのロメインレタスの栽培なども試しているそうです。
来年はもっと畑を借りて生産量を増やしたり、野菜の売り先を開拓したりして、ゆくゆくは3〜4人くらいの規模に成長させることを目指したいそうです。
「農業研修は1年だけだったので、そんなに詳しいところまでは分かっていませんが、いろいろな人に聞いて、いろいろやりながら、自分の方向性を決めていきたいと思っています」
山の中ということで、害獣に食べられてしまうような野菜は栽培できませんが、家や畑の周りが山菜の宝庫! ということが分かり、春は山菜の販売もできるのは? といったご近所さんの助言もありました。
山間にある50世帯弱の集落での暮らしは「人と人との強いつながりを感じる」ことが多く、ご近所の方にお惣菜をいただいたり、高齢の方が多いので、頼られることもあるのだとか。
「ここでできることをやっていこう」 と、しっかりと前を見つめる佐々木さんの今後の展開を見守っていきたいと思います。
農林課からのメッセージ
新規就農して3年くらいで基盤を作って欲しいと思っています。
農業は人に教えてもらうというよりも、農業者同士の情報交換の中から、自分でしっかり情報をつかんで実践していく、そういうスタンスが求められます。
ベテランの農家さんにいろいろ聞いたりすることや、市内でここ10年くらいに新規就農した人たちに声がけをして開催している情報交換会などで、どんどんつかんでいってほしいですね。
(取材、撮影:佐々木里恵)