
5月の田植えから4か月が経ち、黄金色の稲穂が揺れる福島棚田。4月に新設された飯山市立城北小学校の5年生41名が米づくり体験授業に訪れ、稲刈りとはぜ掛けの作業を行いました。
飯山市瑞穂地区の福島棚田では、26年前から誰でも参加できる田植え・稲刈り体験会を開催しています。今回は、飯山市公民館が主催する「飯山雪国大学地域学講座・飯山のお米学」で福島棚田を知った市民も数名参加しました。
開会式では、福島棚田振興協議会、福島棚田保存会による、ケガをしにくい鎌の使い方や、刈り取った稲を稲でしばる方法の実演が行われ、この体験会に2年ぶりに参加した伊東副市長は、「前回はうまくできなかったので、今日は刈り取った稲を、稲でしばるやり方をしっかり覚えるのが目標です」と児童に語りかけました。

昔ながらの、稲刈りとはぜ掛けを体験
棚田ではコシヒカリを栽培しています。棚田を管理している方によると「寒さには強いが暑さに弱い品種。今年の夏は暑すぎたうえ、収穫前の長雨で丈が伸びすぎ、稲穂が倒れてしまった」とのこと。
熱中症対策として、児童は水分補給をしてから作業を開始。稲刈りが初めてというのは3〜4人ほどで、鎌を手際よく使う児童の姿も見られました!






刈り取った稲は束にして竿にかけ、はぜ掛けにします。天日干しで自然乾燥させる昔ながらの方法です。




2時間の作業を終え、集合写真を撮影。
おいしいと評判の福島棚田のお米。収穫したお米は、後日、児童の給食に提供されます。


【動画で解説】稲を稲でしばる方法
はぜ掛けにする稲は、稲でしばる昔ながらのやり方が「具合がいい」そうです。稲わらを刻んで田んぼに撒く際に、ひもでしばったものは、機械の中で絡まることがあるのだとか。
簡単そうに見えるけれど、やってみると難しい。稲で稲をくるりとしばる方法を動画にしました。実演、解説をしてくださったのは、福島棚田の丸山富治さんです。
興味のある方は、ぜひ来年の稲刈りに参加して、体験してみてください!
福島棚田を未来へつなぐために 交流会で課題を共有
稲刈り体験の後、福島棚田の交流施設「さんべ」にて、棚田米でつくったおむすびや、手作りの郷土料理を囲んでの交流会が開催されました。

福島棚田振興協議会からは、集落の高齢化や担い手不足といった課題が報告されました。
江戸時代に開墾された福島棚田。集落では最上部にある荒廃した棚田を復活させて、田植え・稲刈り体験会などの棚田保存活動を始めて26年になります。
最上部の棚田が維持されることで下部の田んぼでも稲作が可能になりますが、集落はかつて70世帯以上あったものが、現在は半分にまで減少。この先、最上部の棚田を維持できなくなると、米作りができなくなり、集落の存続も危ぶまれるのでは…との危機感が語られました。
一方で、福島棚田の米のおいしさを知ってもらい、ブランド化して販売する取り組みなど、未来につなげるための前向きな意見も出されました。

福島棚田の体験会 イベント情報入手方法
福島棚田の田植えと稲刈り体験会イベントは、一般の方も参加いただけます。開催については、信州いいやま観光局のサイトやSNSにてご確認ください。

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取材・撮影:佐々木里恵(里の恵み編集室)