瑞穂地区にある「福島棚田」の稲刈り体験会が、2024年9月26日(木)に開催されました。飯山市立東小学校の体験授業に合わせて実施され、全校児童41名が稲刈りを行いました。
最後の稲刈り体験授業
来年春に閉校される東小学校。25年目の今回が、東小学校としての最後の稲刈りになりました。
閉校後は、新たに周辺地区の4校を統合した城北小学校が誕生します。稲作体験授業は継続されるそうですが、全校児童ではなく、高学年の児童のみが対象となるようです。
福島棚田の中で最も高い場所にあり、眺めの良い東小学区の田んぼで、開会式が行われました。まず、福島棚田保存会の方々による稲の刈り方や束ね方の説明があり、その後に飯山市教育委員会の教育長から、5月に田植えをした苗が約8倍の大きさに成長したことのすごさについてお話がありました。
「刈る、運ぶ、しばる、掛ける、今日はいろいろな仕事があります。お手伝いしてくれた人たちと一緒に働ける。(給食で)みんなで食べる福島棚田の大切なお米。その気持ちを城北小学校に持っていきましょう」
校長先生から児童へ、心のこもった声がけがあり、稲刈りが始まりました!
学年ごとに役割分担
児童たちは学年ごとに、稲を刈るチーム、運ぶチームなど振り分けられて、稲刈り作業が始まりました。
刈った稲は「はざかけ」にするため、だいたい4束ごとにしばります。「こうやってしばって、稲をくるっと回してまたしばって…」しばり方を教えてもらう児童たちは、真剣な表情です。
観察していると、ひもでしばったり、稲の茎部分を使ってしばったり、大人のみなさんは、それぞれ自分独自のしばり方があるようで感心しました。
関係者と一般参加者の棚田でも、着々と作業が進んでいました。
稲は「はざ掛け」して天日干しに
天日干しして乾燥させるため、束ねた稲をふたまたに広げ、竿にかけていきます。これが「はざ掛け」。
4枚分の棚田のはざ掛けが終了しました。壮観ですね!
天日干し乾燥で、よりおいしいお米になりそうです。
苦労が多い棚田での稲作
遠くから見ると一面の黄金色の棚田ですが、今年は稲がところどころ倒れている箇所が目立ちました。これは夏の高温障害が原因とのこと。今年も暑い夏でした。稲にとっても、過酷な気候だったのでしょう。
そして、収穫した稲をよく見ると、穂の部分は黄金色のもみがついている一方で、葉がまだ青いものもありました。
このことについて尋ねると、小さな棚田は水持ちが悪く、少しずつ水を入れ続けるため、水が常に冷たい状態になってしまうことがあり、その結果、稲の成長に影響が出ることがあるそうです。
昨年、福島棚田で東小学校の児童が栽培したコシヒカリが、令和5年度「飯山市米食味コンクール 飯山のおいしいお米グランプリ」で高得点を記録し、準グランプリを獲得しました。
穂にはずっしりと、黄金色のもみがついているように見えました。今回収穫したお米が最高位のグランプリを獲得できるといいですね!
棚田米おむすびと、おいしい料理で交流会
稲刈りの後はいつものように、休憩小舎「さんべ」にて、福島棚田の地元関係者と田植え体験参加者の交流会が開催されました。
福島棚田保存会長の宮川正一さんが、腕を振るったおいしい手作り料理と、福島棚田米のおむすびがふるまわれました。これを楽しみにしている参加も増えてきたようです。
まず最初に、おむすびをいただきたいところですが「他にもたくさん料理が出てくるので、おむすびは最後に食べてください(お腹いっぱいになってしまうので)」とアドバイスが。
こだわりのしょうゆで仕込んだという唐揚げが運ばれると、歓声があがりました!
一つひとつの田が小さい棚田での稲作は手間がかかり、その割には平地の大きな田んぼと比較して収穫量が少なく、採算が取れない…。さらにこの春、保存会の田植え機が壊れるというトラブルがあったそうです! 来年の田植えはどうなるのでしょうか?
ほどよく粘りがあっておいしい福島棚田米のおむすびを食べながら、厳しい条件の中での、棚田の保存活動や、棚田でおいしいお米を育てることは、どれほど大変なものかを改めて感じました。
そして、美しい福島の棚田の風景とそのおいしいお米が、これからも末長く続いていくことを願わずにはいられません。
福島棚田について
江戸時代に拓かれ、一時期は荒廃していましたが、1999年(平成11年)に、地域住民の有志によって復活し「日本の棚田百選」に選定されました。同時に、田植えと稲刈り体験会が始まりました。
2020年(令和2年)には、国の関係府省庁が連携し、棚田を核とした地域振興の支援を行う「指定棚田地域」となり、福島棚田振興協議会が発足しました。
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福島棚田の体験会イベント情報入手方法
福島棚田の田植え・稲刈り体験会イベントの開催については、信州いいやま観光局のサイトやSNSにてご確認いただけます。
取材・撮影:佐々木里恵(里の恵み編集室)