令和3年新嘗祭に、水野尚哉さんのお米が献穀されました

飯山の米
飯山市役所で行われた、令和3年新嘗祭献穀御供進証伝達式 

飯山市から献穀されるのは17年ぶり

令和3年(2021年)の新嘗祭(にいなめさい)に、長野県飯山市太田地区のFaith Farm(フェイスファーム)水野尚哉さんが栽培した米が献穀されました。

新嘗祭は毎年11月23日に、皇居で天皇が新穀を神々にお供えになり、神恩に感謝する祭典です。長野県からは米と粟が献穀されていますが、飯山市から米が献穀されるのは2004年以来17年ぶり。3度目の献上となりました。

新型コロナウイルスの感染症の影響で、今年は献穀献納式が中止となったため、宮内庁から献穀者へ贈られる御供進証(ごきょうしんしょう)と盃が、足立市長から水野さんに手渡されました。

栄養価の高い米作りに取り組む、Faith Farm 水野尚哉さん

水野尚哉さんは飯山市出身の1983年生まれ。2007年に100ヘクタールの水田を経営する農事組合法人 戸狩サンファームに入社して米作りを学びながら、祖父から受け継いだ実家の水田で独自の米作りを2012年から始めました。

「飯山のお米がおいしいのはあたりまえ」と言う水野さんが目指しているのは、おいしくて栄養があり、安心して家族に食べさせられるお米。

土壌の微生物を活性化させることでお米の栄養価を高め、自然にもやさしいという「ピロール農法」で栽培しています。

今回献穀したお米は、農業を営む上で地理的条件が不利と言われる中山間地域で栽培されたもの。一方、稲作に重要な水を運んでくれる水路の最上流に水田が位置しているというメリットもあります。写真:Faith Farm提供

2015年に「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」に初出品した米が国際総合部門で最高の金賞を受賞し、翌年も最優秀賞を受賞。米の総合メーカー「東洋ライス」の「世界最高米」原料米に2年連続で選ばれるなど、水野さんのお米は高い評価を得ています。

地域内・外とのコラボで商品開発

地域の次世代を担う若手農業者としても注目されている水野さんは、自身の生産する米を「七〇八米」(なおやまい)と名付けてブランド化し、地域の活性化にもチャレンジしています。

そのひとつが、今回皇室に献上した農薬・化学肥料不使用の「七〇八米 極 KIWAMI」と、献上米が育てられた田んぼの土を混ぜて作られたごはん茶碗とのギフトセットです。

「ここ飯山でしか作れない商品にしたい」という水野さんの思いから、飯山市で作陶している「あうん窯」の荒井弘次さんに茶碗の製作を依頼しました。

あうん窯の荒井さん(左)。水野さんは工房で陶芸体験もしたそうです

ビジネスコンサルタントとして飯山によく訪れている友人の協力も得て、水野さんのアイデアを具現化するサポートをしてくれました。こうした地域内・外とのコラボでギフトセットが完成し、2月から受注を開始しています。

「皇室献上米と特製ごはん茶碗ギフトセット」の詳細はこちら

その他にもいろいろなプロジェクトが進行中です。
酒米を栽培して、「北光正宗」で知られる株式会社角口酒造店と一緒に日本酒を作ること。酢、みりんといった調味料や、米ぬかを使った米粉スイーツの商品開発。また、献上米が育てられた田んぼにある元民宿「城山荘」に、甘酒やおにぎりを提供するカフェをオープンすることも計画中なのだそうです。

人と地域をつなげる「里山コミュニティビルダー」

農業に興味のある人が飯山に訪れやすく、移住しやすい環境を作りたいと、「城山荘」を仕事付きの農家民宿として運営する計画も進めています。

地域の課題でもある、農業の担い手不足も気になるところで、本格的に農業をやりたい人には、しっかり稼げるようにノウハウを教えたいという思いもあるそうです。

取り組みを続けている田んぼオーナー制度は、2022年分にすでに4組の申し込みがありました。いろいろな人を地域につなげる活動は、もはや農家という肩書の域を超えている、との周囲からの声もあり、「里山コミュニティビルダー」という新しい肩書も生まれました!

地域やファンを巻き込んで、いろいろなアイデアを飯山で実現していく里山コミュニティビルダー、Faith Farm 水野尚哉さんの、今後のさらなる展開が注目されます。

Faith Farm – 信頼の米づくり 信州飯山フェイスファーム

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