飯山にUターンして知った農業の魅力。夫婦で新規就農へ[霜田宏太郎さん・愛子さん]

就農者

長野県飯山市で新規就農された方をご紹介します

あいこう農園 
霜田宏太郎さん・愛子 さん
 宏太郎さん 飯山市出身 32歳 
 愛子 さん 松本市出身 29歳
2019年4月就農
栽培している主な品目:プチピーマン、トウモロコシ、マイクロトマト、マイクロキュウリ、アマランサス、ダイコン(紅くるり)など多品種多品目
経営面積:80a
家族構成:夫婦、子供3人

夫婦別々のInstagramアカウントで情報発信しています。

家族と共に飯山市にUターンした霜田宏太郎さん。同じくUターンして農業をはじめたご近所さんとの出会いがきっかけとなり、それまで持っていた農業のイメージが激変したそうです。

1年間の研修を経て、2019年4月に飯山市で新規就農しました。翌年4月に妻・愛子さんも就農。夫婦で木島地区にて農業を営んでいます。

(取材日:2020年10月)

30歳目前に家族でUターン。農業に対するイメージが変わった

宏太郎さんは、地元飯山の高校を卒業後、松本市にある専門学校に進学。そこで愛子さんと出会い結婚。30歳を目前にして飯山市にUターンする直前は、仕事のために神奈川県の厚木市に住み、塗装の仕事をしていました。

現場で職人的な仕事をするのが好きだった宏太郎さんですが、管理をする側になって現場以外の仕事が増え、働き方に違和感を感じていました。当時小学生だった長男も、都会での暮らしになじめない部分があったそうです。

夏に家族で飯山に帰省した際に、長男が「ここに住みたい」と言ったことがきっかけになり、飯山に戻ってくることにしました。

そこで出会ったのが、実家の斜向かいに住んでいる岡忠農園の岡田さん夫婦でした。数年前に同じくUターンをしてから農業に出会い、作った野菜の販路は自ら開拓するなど、戦略的な農業経営を実践している農家さんの話を聞き、大きな衝撃を受けたそうです。

「それまで持っていた農業に対するイメージ、泥だらけになって夜中まで働く…なんていうイメージが変わりました」と、宏太郎さん。

農業を仕事にする! という決意に愛子さんも賛成し、翌年の4月から飯山市農業研修センターである、株式会社アグリみゆき(現在は、ながの農花株式会社)で1年間研修して独立しました。

おいしいねって、よろこんでもらえる野菜を作りたい

現在は、実家のある木島地区に中古住宅を購入し、周辺の畑でプチピーマン、トウモロコシ、マイクロトマト、マイクロキュウリ、アマランサス、ダイコン(紅くるり)などの野菜を作り、主に首都圏のレストランや食品宅配サービスに卸しています。

就農1年目は、先輩農家さんが紹介してくれたルートで、栽培した野菜の8割をレストランに卸していましたが、2年目の今年は新型コロナウイルスの影響でレストランの需要が激減。

ところが、その代わりに家庭への食品宅配サービスの需要が高まったことでカバーできたそうです。

社会情勢や天候にも左右される農業ですが、「料理する人、食べる人に、おいしいねってよろこんでもらえる野菜を作りたい」という思いで、持ち前の職人気質を発揮し、試行錯誤を重ねています。

昨年作ったトウモロコシは糖度が高く、口コミで評判になり自分たちが食べる分がほとんどなかったほど引き合いがありました。

今年は天候の影響で味がいまいちだったそうですが、来年はさらにおいしいトウモロコシを作る! と意気込んでいます。

自分たちに合う野菜を見つけることが大事

「何これ⁉︎ と言われるような、ちょっと変わった野菜を作りたい。おもしろいですよね」と言う宏太郎さん。

あいこう農園の現在の主力野菜は、赤、オレンジ、黄色とカラフルなプチピーマン。「生で食べたら、甘くて種が少ないことに衝撃を受けて」作りはじめたそうです。

さっと炒めたりグリルにしたり。肉詰めを作ると、家族5人であっという間に100個は食べてしまうのだとか!

宏太郎さんは、「プチピーマンは自分たちに合う野菜」と言います。

「たとえば葉物野菜は、気温が上がる早朝に収穫するのですが、子供が3人いるので早朝の作業は難しい。プチピーマンは、午前中に収穫して、午後に作業場で検品して、間に合わなかったら子供が寝た後にまた作業をして…と、生活に合わせて作業ができます」

農業を経営するうえで、「生活スタイルに合う野菜を見つけること」が大事なのだそう。

仕事として農業を選んだのは、自宅や家の近くで作業ができるので、会社に勤めるよりも家族と一緒にいられる時間が多く取れる、ということもありました。愛子さんも「自分のペースできるのがいい」と思っているそうです。

でも、さすがに収穫の時期は「野菜は待ってくれないので、そんなこと言ってられません(笑)」

野菜を通じて地元の飲食店と繋がりたい

#飲食店さんと繋がりたい というハッシュタグをつけてInstagramに投稿しているおふたりに、今後の展望についておうかがいすると、いろいろな野菜を生産する中で、どうしても出てしまう野菜のロス分を、地域でうまく使ってもらえないか? と考えているとのこと。

実はパティシエになりたくて専門学校に行ったという宏太郎さんは、ごはん屋をやってみたいな…という思いもあるそうです。

「食べるより、作る方が好きなんです。でも、まずは安定して野菜を生産できるようになってからですね」

農業にかける意気込みを「僕としては死ぬまで畑にいたい。土になりたい!」と、笑顔で語ってくれました。

霜田さんから、飯山で新規就農したい人へのメッセージ

まずは飯山に来てみて。雪で農業ができない冬の時期をどうするか考えらえるか? 冬に滞在して体験してみるといいかと思います。

どんな場所にも、いいところ、悪いところがあります。一度出て、戻ってきたから言えるのですが、飯山はいいところだと思います。自然が身近にあり、畑で遊んだり、子供にとって住みやすい。新鮮でおいしい野菜や果物が手に入れやすいのもいいですね。都会だと、野菜が高くて、外食した方が安いなんてこともあったので、実感しています。

 あいこう農園のInstagramアカウント

宏太郎さんのInstagram a.k.f._aikou_nouen
愛子さんのInstagram aikoufarm
 

農林課からのメッセージ

異業種での経験を持たれている霜田さんは、お客さまとの信頼関係を大変大事にされ毎日の仕事に取り組まれています。今年は、就農2年目で大いに羽ばたこうという矢先、新型コロナウイルスの感染拡大があり、大変な社会状況となりました。
そんな中にもかかわらず、笑顔を絶やさず、奥さんと「おいしいものをお客さんに届けたい」と頑張っている姿は、地域の皆さんからも厚い信頼と期待を寄せられています。若い農業経営者として、躍進されることを期待しています。

(取材、撮影:佐々木里恵)

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